生まれる前に重要な役割を果たしている、肺動脈と大動脈を繋ぐ、動脈管が生後も閉鎖せずに残るために、多くの異常が発現する先天性心疾患です。動脈管開存症では、大動脈から肺動脈へ常に血液が流れてしまい、肺、心臓に大きな負担をかけます。したがって、犬の動脈管開存症は一年以内に手術をしなければ半数は死亡するといわれています(Bonagura.J.D1991)。
動脈管開存症の手術方法は、二通りあります。肋骨の間を、大きく切開する開胸手術により、心臓を露出して動脈管を閉じる方法と、カテーテルを用いて専用のコイルにより血管の中側から動脈管を閉じる方法のいずれかが選ばれています。
カテーテル技術を用いた、動物の負担が極めて少ないコイルオクリュージョンを当院ではおこなっております。
胸を切り開いて行う負担の大きな外科手術に比べ、カテーテルという細い管を血管へ入れるための小さな傷ですむのが、この治療のメリットです。つまり、動物への、手術にともなう痛みや刺激などの負担は、とても小さく、傷跡もほとんどきになりません。また、入院期間も短くて済みます。
近年、人の先端医療でも、インターベンション治療が、低侵襲に治療効果が得られることなどから注目を集めています。“インターベンション”とは、2~3mm程度の太さの管(カテーテル)を用いて行なわれる血管内治療を総称する言葉であり、PDAコイルオクリュージョンもこれに含まれます。
大きなメリットをもつ“PDAコイルオクリュージョン”ですが、この治療が体に合わない場合もあり、その見極めが大切とも言えます。
もし、この治療に興味がございましたら、一度ご相談ください。
![]() コイルのデリバリーワイヤーへの取り付け |
![]() 手術はレントゲン透視モニターを見ながら行います。 |
![]() コイル挿入前のレントゲン写真 |
![]() コイル挿入後のレントゲン写真 |
![]() 傷跡は2~3cmとかなり小さいです。 |
![]() 術後一週間 低侵襲のコイルオクリュージョンでは回復も早いのがメリットです。 |
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術後6ヶ月のレントゲン写真 コイルがレントゲンで確認できます。コイルは、MR対応(1.5スラ以下)なので、後でMRI検査をしたい時でも安心です。 |